第72回高等学校卒業式 式辞

第72回の高等学校卒業式は、新型コロナウイルス感染予防にあたり、参加者は生徒と教職員だけとし、時間短縮を図って実施いたしました。しかし、大変心のこもった素晴らしい式を行うことができ、生徒たちの旅立ちを祝福できたと思います。どんな困難にも負けない強いトキワ生でいてください。式の際の式辞をご紹介します。

本日ここに、トキワ松学園高等学校第72回卒業式が挙行され、新な卒業生が誕生しました。卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。そして、本日ご臨席を賜りました皆様に、厚く御礼申し上げます。尚、ステージにあるこのきれいな生花は、同窓会のみどり会より、卒業生の皆さんへのお祝いとして戴いたものです。

さて、お話の初めに卒業生の皆さん緑学年の、思い出を少しふり返ってみたいと思います。まず、昨年6月に行われたスポーツ祭典で、皆さんはグランドいっぱいにその元気な力を発揮していましたね。力強さの中に華麗な花を咲かせたダンス「すみれ」は、感動の一言でした。また私は、高校2年生の11月に皆さんと行った修学旅行の思い出が一番強く残っています。初日の広島では、原爆ドームや平和祈念館を見学しましたね。被爆された方の平和講話聞き、平和への思いを更に強めたのではないでしょうか。その後向かった宮島では厳島神社の見学と島内自由散策などを行い、大切な仲間との思い出もたくさん作れたことと思います。その宮島では夕食時に「私と早朝散歩しませんか?」と参加者を募ったところ、いきなりの提案にもかかわらず、翌朝30名以上の皆さんが散歩に参加してくれて、明け方の厳島神社の鳥居を見に行ったのがとても良い思い出となりました。神戸では町中を班別で自由散策し、夕方には船に乗り神戸港をクルージングしながら船内で夕食をとるという初めての試みもありました。思い出いっぱいの4泊5日だったのではないでしょうか。そのほかにも、様々な学校生活の中での皆さんの元気で明るい笑顔が脳裏に蘇ります。そんな皆さんの晴れの卒業式を迎え、学年の先生方を始め教職員一同、寂しさを感じつつも大きな喜びを持って送り出したいと思います。

さて、近年AI(人工知能)が話題になっていますが、よく聞く話としては、AIが現在ある人間の仕事の多くに取って代わってしまうと予想されていることです。でも、これは古いSF映画でも当たり前のように描かれていたことで、驚くことでも危機感を持つことでもないのです。逆に考えれば、これからの社会は人間だからできる事、人間にしかできない事をしなさいということなのでしょう。つまり、コミュニケーションを大切にし、感情を読み取ることができる人となって社会に貢献できることが必要になってくるのです。そうなるためには、仕事だけでなく、ボランティアやスポーツなどの世界を通して多くの国や人々と交流を持つことも大切でしょう。

今年は何といっても、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる記念すべき年です。皆さんは高校を卒業した大人の立場で迎えるわけですが、この記念すべきイベントを迎えるにあたり、皆さんには競技の勝ち負けだけを見るのではなく、このイベントをきっかけに、これからさらに発展していくであろうこれからの社会で、皆さんが今後どんなことに参加し、どんな力を発揮できるのか考えて欲しいのです。昨年行われたラグビーワールドカップを思い出してください。日本チームの活躍に日本中が感動したのは記憶に新しいことと思います。その日本チームの中には海外出身のメンバーが15人もいました。そしてそれを束ねるリーチ・マイケル主将を先頭にして、ワンチームとなって得た初のベスト8でした。そこで我々応援する者たちが国や人種の壁を乗り越え、心からの声援を送り感動を共有できたことは、日本が新しい時代へ向けて変化してきた姿を見たように感じました。同じようにオリンピックでも日本に多くの人を迎えるにあたり、国や人種の壁を乗り越えてたたえあう心と、おもてなしの心をしっかり持たなければいけません。オリンピック・パラリンピック終了後も、様々な国の人やハンデキャップを持つ人々と助け合い、繁栄していくことができるよう、我々はまだまだ人として、社会として成長していく必要があるのだと思います。その中心となり活躍していくのが皆さん世代ではないでしょうか。世界に向けて広い視野を持ち、人間だからできる事、人間にしかできない事を見つけ、社会に貢献できる女性となってください。

我々は皆さんの活躍をこの碑文谷の地で永遠のサポーターとして応援しています。でも、何かの転機で悩んだ時、また社会の荒波にもまれ、少し疲れたときは、遠慮なくトキワ松に帰ってきてください。先生方はいつでも笑顔で待っています。

最後に皆さんへ。1月22日にご逝去された安井先生は、今回の卒業生を最後として教員生活に区切りをつけられるおつもりでした。それだけに、この卒業式は特別なものだと楽しみにされていました。今日、皆さんのこの晴れの姿を空の上から笑顔で見ておられることでしょう。皆さんのこれからの活躍が先生の願いであり、また先生に対する何よりもの恩返しとなると思います。是非、胸を張り、自信をもって前に進んでいってください。

改めて皆さん、ご卒業おめでとうございます。そしてこの卒業にあたり、本学園の教育にご理解ご支援をいただきましたすべての皆様に、心より感謝を申し上げ、私の式辞とさせていただきます。

校長 中山正秀