感動の舞台ー演劇部ー

高校二年の修学旅行引率から戻った翌日曜日。演劇部が東京都の大会に出場するというので、楽しみに行ってきました。自作品の方が高く評価されることが多い中で本校は越智優作「見送る夏」で地区大会に臨みましたが、他の常連校を抑え見事に東京都の大会への切符を手にすることができたのです。これは生徒たちのこの作品にかける意気込みとチームワークの結集の成果に他ならず、誇らしく思います。

「見送る夏」は、高校生たちの夏休みの何気ない日々を描いています。ある生徒の家に仲間が集まり、テーブルを囲みながら、とりとめのない会話を交わす。宿題の教科書を開きはするもののやるでもなく、といった誰もが思い当たる夏休みの一幕なのです。これという山場もなく過ぎていく話であり、場面が変わることもありません。劇として観客を惹きつけるか否かは、まさにせりふの勝負であり、間の取り方、せりふがない時の演技にかかってきます。

私が感動したのは、役柄と生徒の個性がぴったり合致し、各自の持ち味をお互いに最大限に引き伸ばすことができた迫真の演技だったことです。部活の試合で燃え切れなかった自分、同じ男子に好意を抱いてしまっている複雑な思い、両親の離婚、不登校等々。青春の中でそれぞれの心に抱える光と影を不器用に表現し、互いを察しながら気遣う。そうやって新たな何かを感じ取り、見つけ出していく。思春期の自分探しの中で家族や仲間の大切さを感じながら成長していく登場人物の彼女たちと、生徒である彼女たちが重なり、笑いあり涙ありで、観た後には心がほっこり温まる思いがした舞台でした。

修学旅行を2日で切り上げ東京に戻り大会の日を迎えた演劇部の生徒たちにとって、大いなる実りの秋となった舞台であり、私にとっても忘れられない日となりました。

※写真は文化祭での舞台です。