第71回 トキワ松学園高等学校卒業式

3月2日土曜日、すがすがしい天気の中、第71回トキワ松学園高等学校卒業式が行われました。天気予報では、この日の前後は雨の日が多かったため心配していましたが、さすが青学年(青は学年色)雨雲を吹き飛ばし本当の晴れの日となりました。私の式辞の一部分を載せます。

 

『・・・さて、お話の初めに卒業生の皆さんの、思い出を少しふり返ってみたいと思います。まず、昨年6月に行われたスポーツ祭典で、皆さんはグランドいっぱいにその元気な力を発揮していましたね。学年の先生方と一体になった応援合戦、力強さの中に華麗な花を咲かせたダンス「すみれ」、そして何よりも接戦の中、皆の力で勝ち取った総合優勝。チームワークの勝利でした。

私は、高校2年生の11月に皆さんと行った修学旅行の思い出が一番強く残っています。神戸の街を巡り、ガイドの方から阪神淡路大震災の時のお話を聞いたときは、みなさんも常の災害に対する準備と心がけの必要性を改めて感じたのではないでしょうか。倉敷の美観地区を自由散策したときは、ほのぼのとした気分になりましたね。そして、広島での平和学習や宮島で厳島神社の見学と島内散策など、日本の良き文化と、平和の大切さを勉強しながら大切な仲間との思い出もたくさん作れたのではないでしょうか。

今日この卒業式を迎えてふり返れば、様々な学校生活の中での皆さんの元気で明るい笑顔が脳裏に蘇ります。そんな皆さんの晴れの卒業式を迎え、学年の先生方を始め教職員一同、寂しさを感じつつも大きな喜びを持って送り出したいと思います。

ここで卒業にあたり、私は皆さんに今後の生活の中で2つのことを大切にしてもらいたいと思い、お話しします。まず、一つは「人の話をよく聞く」と言うことです。あたりまえのことのようですが、人間は自分の考えを持つと、どうしてもそれを主張したくなってしまいます。また、人の話を聞いていても途中で自分の意見を挟んだりして、相手を否定されたような気持ちにさせてしまってはいないでしょうか。それは相手の考えを受け止められないと共に、時にトラブルのもとにもなりえます。

皆さんが高1高2で頑張った行事に音楽コンクールがありましたね。練習を重ね、心を一つにして合唱したことと思います。しかし、その合唱の世界でも「合唱とは、人の声を聴くことだ」と言うそうです。自分がどのように歌えばよいか、また指揮者や伴奏者であったらどのように引っ張って行けばよいかを考えていくためには、先ずみんなの歌声をよく聞いてからでなくてはなりません。また、みんながどのような歌唱力で歌っているかを理解しなければ、相手を否定する言葉を投げかけてしまうかもしれないのです。それでは合唱は成立しないでしょう

これから大人になって社会に出ると、自分の考えをしっかりと相手に伝える力が必要になります。しかし、同時にこの「人の話をよく聞く力」も必要になるのです。しっかり意見を聞いて理解した状態で自分の意見も発していけば、相手も納得し良い結論を導き出せることでしょう。そこで皆さんには、相手が話を伝えやすくなるような「聞き上手」な人になってほしいと思います。そうすれば、複雑な社会の中でもコミュニケーションが取れ、相手との理解を深めて物事がうまく運ぶはずです。

もう一つは「先を読む」ことです。今将棋界では最年少で中学生棋士となり、高校生になった現在もさらに活躍している 藤井 蒼太(フジイ ソウタ) 七段、囲碁界ではこの四月になんと10才でプロになる仲邑 菫 (ナカムラ スミレ)初段など、今若い棋士が話題になっています。どちらも堂々と大人を相手に活躍できる才能の持ち主です。囲碁も将棋も先を読んで進めるもの。まさに相手の考えを読む、相手のどれだけ先を読めるかの戦いです。それを考えると、この若さで活躍するこの二人の能力は、どんなにすごいものなのでしょう。しかし、「先を読む」力の大切さは、囲碁や将棋などの戦いの場だけに言えることではありません。これから皆さんが過ごす人生においても重要なことです。「危険を察知する」「生活設計をする」など、多くの人に関わる重大な予測や、自分の長い人生に向けての予測はとても大切で、皆さんもきっと考えていることでしょう。しかし、もっと身近なこととして、普段の生活の中で、自分の行動の少し先を読むことが意外とできていない場合があります。それが仕事においても、人間関係においても大失敗につながる一番の原因になっているとも言えます。常に目先の状況だけで判断するのではなく、その一つ先二つ先を考え行動する習慣をつけることが大切なのです。

卒業生の皆さんには今後の生活で、今お話しした「人の話をよく聞く」そして「先を読む」と言う、この2つのことを意識してこれからの生活を送ってほしいと思います。そして、これからもいろいろなことを吸収し、トキワ松学園の建学の精神である「鋼鉄に一輪のすみれの花を添えて」という言葉のように、何事にもバランスのとれた大人に成長して、社会で活躍していってください。・・・』

卒業証書を受け取る際に、私がかける「おめでとう」の言葉に、にこやかに返事を返してくれました。

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。