第69回 高等学校卒業式

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好天に恵まれた3月3日、平成28年度 第69回 トキワ松学園高等学校卒業式が挙行されました。卒業生ひとりひとりの晴れやかな笑顔が印象的な、とても明るい卒業式でした。卒業証書を手渡し、目の前で巣立っていく卒業生の姿を見送るのはとても感動的で、できるなら担任の先生の手から渡してあげてほしいとも思いました。式辞では2020年を一つの機会として、グローバルな活躍のできるバランスのとれた女性に成長してほしいという願いを述べました。式辞の本文を紹介いたします。

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『・・・さて、卒業生の皆さん、高校生活の3年間はとても早く感じた人も多かったのではないでしょうか。でもその中にはたくさんの思い出があったことと思います。特に行事では、思い出に残るいくつもの活躍がありました。中でも、私が一番印象的だったのは、スポーツ祭典の高3ダンス「すみれ」です。毎年スポーツ祭典のメインイベントとして行われますが、学年によってそのダンスに受ける印象も少しずつ違います。今年のダンスの印象を一文字で表せば「輪」だと思います。一つ一つの踊りの中に、まとまろうとする意識が強く表れ、全体の動きが大きなつながりのあるものに感じられました。個々の表現力も優れており、美しさを身体全体で表現できたところは、芸術に触れる機会の多いトキワ松生の豊かな感性が現れていたと思います。また、学年の先生方をはじめとして、多くの方々にやさしく包まれて育った、この学年の温かさも表われていたのではないでしょうか。

このような思い出とともに、この3年間には大きな成長や変化もあったと思います。自分の将来へ向かって真剣に考え、悩み動き出した皆さんは、これからの日本の社会を支える大切な宝物です。しかし、それと同時に今までとは違った、自分の行動により多くの責任を持たなくてはならない大人の世界に入っていきます。どうか、何事にも信念をもって歩んでいってください。

大人の世界と言うと、今日本では、これまで20歳から大人として認められることや負うべき責任を、いくつかの項目に関して18歳に引き下げていこうという動きがあります。その一つとして実際に、18歳で選挙権が与えられ、昨年夏の参議院選挙では皆さんの中にも投票に行った人がいると思います。つまりこれからは若い世代にも、責任ある考えや意見を求め取り入れていこう、社会や政治に意識を持ってもらおうと社会全体が動いているのです。皆さんも卒業後、自分の将来に目を向けると共に、よりよい日本、いや世界を築くために社会の一員なのだという自覚をもって行動していってほしいと思います。

2020年には東京オリンピックが開催されることが決まっています。世界から注目を受けるこの機会に、多くの国の人々との交流が行われることでしょう。そこで、皆さんにもトキワ松学園で培った社会に対応する力を発揮し、その交流や日本文化の発信に役立つグローバルな活動や仕事にかかわっていってほしいと思います。それに関わることですが、この1月27日に、東京オリンピックを機に、日本文化を発信するプログラムに対して応援するプロジェクト「beyond2020」のロゴマークの選定が行われ、全国の美術系大学を抑えて、横浜美術大学の3年生「菅原みこ」さんのデザインが選ばれました。これはまさに快挙と言えることです。今後日本中でこのマークが使われていきます。このマークを胸にトキワ生として胸を張って世界の人々との交流や文化活動を行ってもらいたいと思います。

トキワ松学園は、ご承知の通り昨年11月「創立100周年」を迎えました。この100年を機に、新たな歴史が始まるその記念すべき最初の卒業生として巣立つ皆さんは、新生トキワ松の代表と言えます。そんな皆さんは入学以来、創立者三角錫子先生の「鋼鉄に一輪のすみれの花を添えて」という言葉を、いろいろな機会で聞いてきたと思います。その強さと優しさを兼ね備えた女性像は、トキワ松生の象徴的な姿と言えます。今の時代、鋼とすみれを兼ね備えるということは、バランスのとれた人間になるということにもなるでしょう。しかし、人生や社会生活の中では、天秤のようにただその場が平行に釣り合うことだけが良いというわけではありません。時には仕事や大切な決断をするように、強さを大きく示さなくてはならない場面があり、それは自分の中のバランスを変え、傾けさせてもやり遂げなくてはなりません。また、時には家族や友人に対するように、大きな優しさで守り助けていくために、バランスを変えていかねばならないこともあるのです。それらをすべて含めてコントロールする力を持つことが本当のバランスのとれた生き方と言えるのでしょう。これは、一方的な知識を得るだけでなく、多くの人の意見を聞き、整理して自分としての答えを出せる豊かな思考力を持ってこそ成せるもので、トキワ松学園を卒業する皆さんにはしっかりとその力が身についているはずです。

卒業生の皆さん、どうぞこれからも、自分の中の「鋼とすみれ」を大切にして、何事にもバランスのとれた大人に成長していき、社会で活躍していってください。我々は皆さんの活躍をこの碑文谷の地で永遠のサポーターとして応援しています。でも、社会の荒波にもまれ、少し疲れたときは、遠慮なくトキワ松に帰ってきてください。先生方はいつでも笑顔で待っています。

最後になりましたが、保護者の皆様をはじめとして、本学園の教育にご理解ご支援をいただきましたすべての皆様に、心より感謝を申し上げ、私の式辞とさせていただきます。』

新しい世界に飛び立てトキワ生! 頑張れトキワ生!

 

 

トキワ松ギャラリー(卒業生作品紹介)

トキワ松学園中学校高等学校は、併設に横浜美術大学があり、高等学校に美術デザインコースを持つことでも知られています。美術デザインコースの入学者は年々増え、横浜美術大学をはじめ多摩美術大学・武蔵野美術大学・東京造形大学・女子美術大学など、多くの美術大学に卒業生を送り出しています。そんな中、卒業生で活躍されている方の作品や、横浜美術大学の学生さんの作品などを、生徒・保護者やお客様に見ていただけるよう、校舎の廊下をギャラリーとして作品展示しています。作品は一定期間展示後に順次入れ替わっていきますが、今回は間もなく展示が終了する卒業生の井上英里さんの作品をご紹介します。井上さんは、トキワ松学園高等学校を卒業後、美大・大学院を経て現在は「日展」をはじめとする多くの展覧会に入選する活躍をされています。

進学・特進コースや小中学生も一緒に生活する校舎ですが、美術デザインコースの生徒に限らず、芸術作品に触れることは観察力や感性を磨くよい機会であり、トキワ松の「美の教育」としても推し進めています。皆さんもトキワ松学園にお越しの際は、1号館1階の廊下に展示された作品を是非ご覧ください。

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「烏瓜 からすうり」 作 井上英里    「極楽鳥花 ストレチリア」作 井上英里