博士号取得!

 トキワ祭を盛況のうちに終えることができ、ほっとして迎えた10月。残暑がいつまでも続きましたが、空を見上げればすっかり秋の深まりを感じさせるいわし雲が流れています。そんなある日、卒業生の矢野さん(旧姓中山さん)から電話があり来校したいということです。早速お迎えすると、何と彼女の専門である英文学で博士号を取得したという報告でした。私はお子さんがまだ小さいため、子育てに専念しているとばかり思っていたので、忙しい毎日の中でよく博士論文を書き上げたことと心から驚きました。矢野さんは白百合女子大学を卒業後も研究を続けながら、トキワ松でも英語の非常勤講師として後輩の指導にあたってくれた時期がありました。その後結婚し、ご主人の転勤に伴ってニューヨークで数年生活し、出産もしました。帰国後、子育てをする中、それまで発表した論文をまとめ、加筆し博士号取得の申請をしたのです。審査に時間がかかりましたが、見事に白百合女子大学第2号となる博士号を取得することができたといいます。

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 話を聞いていると、その原点がトキワ松の英語の授業で経験したリーディングライブラリーにあるというのです。現在は4000冊になりますが、英語の蔵書の中から好きな本を選んでできるだけ辞書を引かずに読み通す多読活動なのですが、矢野さんははじめの内は「やらされている」感を覚えながら読んでいたのだそうです。ところが、"The Secret Garden"の本に出会い、平易な英語で書かれていたので、各ページの語注釈を見る程度で読み進めることができ、そのうちにストーリーの中に引き込まれていったのです。その後は英語の本を読むことが楽しくなり、何冊も読むようになったのが文学への関心を深めるきっかけになったそうです。「強制するのではなく、ひとりひとりの興味を後押しする指導であり、先生方の温かい励ましがあったから、自由にゆったり感性を醸成することができたのだと思います。」矢野さんからこんなことばを聞くことができ、私も心からうれしく思いました。

 現在は子育てと両立できる範囲で大学の教壇にも立っているということです。今後は母としての感性や視点が加わり、文学の研究もますます深めることができるのではないでしょうか。さらなる活躍を応援したいと思います。